狭い海峡に敷かれる国境

南アメリカの南部には、チリとアルゼンチンの国境が、狭い海峡を入り組むようにしてあります。この海峡は「ビーグル水道」と呼ばれ、広い場所では幅10km、狭い場所では幅1kmほどです。ここへはアルゼンチンのウスアイアから船に乗り、クルージングで訪れることができます。夏の暖かい季節には、たくさんのペンギンが出産、子育てに訪れ、冬の寒い季節は、オタリア、アシカそして海鳥などを見る事ができる場所です。

南米のウスアイアから国境をボートで行く、ビーグル水道周遊クルージング 南米のウスアイアから国境をボートで行く、ビーグル水道周遊クルージング

町にそびえる美しい山を一望

冬のウスアイアは、日の出が9時過ぎ、日没が5時過ぎと日照時間が短いことにびっくりしました。ビーグル水道のクルージングは昼過ぎに出発です。オフシーズンなので、予約の必要もなく飛び込みで参加できました。港から船に乗り、陸から徐々に離れると山の斜面から海岸まで広がる町の美しい全貌が見えました。しかし、スピードが出ている船外は、非常に凍えます。うれしいことにホットチョコレートのサービスがありました。

茶目っ気たっぷりの船長

船の中では、船長が地図を広げて進路を説明してくれます。そして、目的地まで進行方向左側にアルゼンチン国土、右側にチリ国土を臨みながら船が進みます。船の運転を見ているうちに、船長に運転をさせてもらうことになりました。私は海賊の親分が被るような帽子を受け取り、一時的に船長に変身しました。最初に到着した島は、海獣がたくさん集まる島でした。下船は行わず、船の先頭や看板から、優雅な海獣の姿を眺め、まるでこの寒さを楽しんでいるようでした。進み続けると、島に灯台があり、折り返しとなりました。

寒い海と大地、そして国境に沿う

帰路は、ある島に立ち寄って上陸をしました。この寒い気候は、島に木が植生するのを拒むのか、背の低い植物で覆われていました。島の小高い丘から望む光景は、寒空と海ですが、この細い海峡が国と国を隔てているという不思議な雰囲気を味わいました。冷えた身体を温めるため、ビールを船内であおり、夜になった町へ向かいます。町は星空のように澄んだ光を海に映しており、暖かさを感じました。オンシーズンは、帰路のルートが変わり、農場へ立ち寄るそうです。国境を越えることでなく、国境上を船で進み、海獣たちに出会える旅を体験してみましょう。