モコチンチとの出合いはラパス

私がその飲み物と出合ったのはラパスの屋台でした。その時に一緒にいた旅人が、もう30年越しでアンデスに通っているというアンデスの食文化のエキスパートだったのですが、その彼が「是非吉田さんに試してほしいボリビア名物の飲み物がある」というのです。なんでもその飲み物は屋台で売られていて、飲むと高い確率で「当たる」らしいのです。その彼もまだ怖くて飲んだことがないそうで、そう言われたらここは飲むのが旅人の心意気というものでしょう。その名は「モコチンチmocochinchi」、名前からして怪しさが漂いまくりです(笑)。

その名前にまずビックリ!ボリビアの怪しい国民飲料「モコチンチ」 その名前にまずビックリ!ボリビアの怪しい国民飲料「モコチンチ」

見た目は梅入りの梅酒、お味は・・・

屋台の飲み物ならば朝一番に飲むほうが新しいだろうということで、屋台が開くころを見計らってラパスの目抜き通りの屋台エリアに向かいました。インディヘナのお母さんが支度中です。大きなポリバケツに仕込んだ琥珀色の液体をコップに注ぎ、大き目のアンズのような実をひとつ入れてはテーブルに並べていきます。見た目は梅入りの梅酒って感じ。さてお味はというと、うん、甘い黒砂糖ドリンクでした。癖もなくなかなか美味しかったのですが、入っている実は不味かったです。そして「当たる」ことなくその日を無事に過ごしました。もちろん食文化のプロ氏も大丈夫でしたよ。

みんな大好き、ボリビアの国民的飲み物

モコチンチはボリビアの小さな干し桃を茹で、黒砂糖とアニス、シナモンなどの香辛料と煮出して作る飲み物です。道端でよく売られていて、頼むとバケツからすくってコップに入れてくれます。桃入りと桃なしで値段が違います。長距離バスの中にも売りに来るのですが、10歳くらいのかわいい女の子が「モコチンチ、モコチンチ」と声を張り上げる姿がかわいくて、ついつい笑ってしまいます。賞味期限は一日で翌日まで保存できないそうなので、「当たる」という噂はもしかしたら店仕舞いくらいのその日最後のモコチンチを飲んだのかもしれません。

コカコーラの終わりの日、モコチンチの始まりの日

社会主義運動党(MAS)党首であるモラレス大統領率いるボリビア政府は、“超反米”で知られていますが、2012年7月に外務大臣が「資本主義の象徴であるコカコーラをボリビアから追放し、ボリビア国民はわが国独自の飲み物モコチンチを飲むべきだ」と発言し物議を醸しました。「マヤ暦の終わりである12月21日に資本主義が終わり共同体主義が始まる。この日をもってコカコーラをボリビアから追放し、モコチンチの始まりの日とする」というかなりぶっ飛んだ発言でしたが、さて、本当にボリビアからコカコーラは追放されたのでしょうか。2013年にボリビアを旅した方、情報をお待ちしています(笑)