下に見える不思議な建物の正体は?

ゴンドラは出発すると、あっという間に町の上を飛ぶように走っていきます。真下はふつうの住宅地なので、落ちたら大変な被害が出るなと思いつつ、下に見入ってしまいます。ラ・パスではだいたい低いところが金持ちが住むエリア、高いところへ行けば行くほど貧しい人たちが住むエリアと言われ、このすり鉢の縁へ上って行く斜面はどちらかといえば貧民街にあたります。犯罪多発エリアとして知られ、一般旅行者はまず立ち入ることがないところ。下を見ると確かにきれいとは言えない街並でしたが、人々の暮らしが垣間見られます。やがて眼下に、一見、工場のような景色が見えてきますが、これはラ・パス最大の墓地です。土地が買えない貧しい人は、コインロッカーのように何段も重ねた壁の中に墓を収めているのです。墓参りに来ている人を眺めつつ、最初の停車駅に到着です。

標高4000mの絶景。ボリビアのラ・パスに開通したロープウェイ「テレフェリコ」(後編) 標高4000mの絶景。ボリビアのラ・パスに開通したロープウェイ「テレフェリコ」(後編)

眼下に広がる絶景をひとり占め

途中駅では、ほとんど乗り降りする人はいませんでした。ここを過ぎると角度も急になり、いよいよほぼ垂直に迫る崖に向かって進みます。背後を振り返ると、今まで来たラ・パスの町が遠くまで広がって見えてきます。ラ・パスを取り囲む“すり鉢”の縁のさらにその向こうには、雪を抱いた山々が見えてきました。標高5000m以上はある山々です。こんな絶景をたった50円で観られるのは、かなりお得でしょう。前方の崖の斜面に、崖上のエル・アルトの町へと続く、幹線道路が見えてきました。この道路の上を越せばまもなく終点に着きます。

終点の駅でひと休み

終点のエル・アルトに到着です。降りた所にある駅ビルの建物自体は完成していましたが、中の施設はまだこれからのようでガラガラ。開いているのは2階のフードコートだけでした。ここで簡単な食事やカフェ休憩ができます。そのすぐ外が展望台になっているのですが、すぐ隣の建物が邪魔で視界はまあまあ。目の前の建物がそのままなのに、展望台を作ってしまった中途半端さが、ボリビアらしいと言えばボリビアなのでしょう(笑)。駅の外へ出るとタクシーがたくさん客待ちしていました。エル・アルトの繁華街がここからどのくらい離れているのかわかりませんでしたが、とくに用もないのでまたラ・パスへ戻ることにしました。

あの物体の正体は、いったい何?

テレフェリコの上りで気になっていたことがあります。最後に崖に迫って上って行った時に、崖の割れ目に金属らしきものが光っていたのです。まさかと思いながら帰路に注息深く見ると、それは車でした。道路から落下して、すっぽりと崖の割れ目にはまってしまったようです。運転手はどうなったのか、気になるところですが、そのことは誰にも聞けずにボリビアを後にしました。さて、このテレフェリコの路線はこうしている間もどんどん拡張しています。おそらく数年後には、ラ・パス市内の移動もずいぶんと楽になるでしょう。とにかく眺めがすばらしいので、利用してみてください。