世界で一番高いところにある銀鉱山の町

ボリビアのポトシはラパスの南西440kmに位置し、標高約4100m、人が生活する町としては世界で最も高いところにあります。この町のセロ・リコ銀山は日本の石見銀山とともに世界の二大銀山と呼ばれ、またメキシコのサカテカス、グアナファトとともに中南米三大銀山のひとつとされて、最盛期の17世紀には南米最大の都市として繁栄しました。しかし、銀の採掘はスペインによって強制的に連れてこられたインディオの奴隷たちによって行われ、800万人以上が犠牲になったという説もあります。セロ・リコ銀山はポトシ市街とともに世界遺産に登録され、また奴隷制度の象徴として負の世界遺産にも挙げられています。

世界一標高の高い世界遺産の町で鉱山を見学し、アンデスの温泉に浸かってその劣悪な労働環境について考える 世界一標高の高い世界遺産の町で鉱山を見学し、アンデスの温泉に浸かってその劣悪な労働環境について考える

鉱山の中に入るツアー

セロ・リコ鉱山の銀は19世紀に枯渇し、今は、その後発見されたもののこれも枯渇寸前の錫が採掘され、坑夫が手掘りで作業をしています。ポトシの観光の目玉は、この鉱山の中に入るツアー。市内にはツアーを催行している旅行会社がいくつもあり、ここで申し込みます。参加者にはヘルメット、作業服、長靴やライトが貸し出され、次に鉱山の作業員用の市場で飲み物やコカの葉、軍手など坑夫へのお土産を買います。そしていよいよ鉱山に入ります。中は狭くて足場も悪く、気温35度くらい。見学中ももちろん作業は続けられ、トロッコが行き来します。

劣悪な労働環境を体感する

坑道を奥に進むほどに空気が薄くなっていくのを感じます。4100mの高地に高度順応できていても、狭く暑い坑道内を這ったりよじ登ったりしながら約2時間歩くツアーは非常にきついです。しかも中は粉塵が舞い、マスクをしていても咳き込むほど。そして私たちがただ歩くのもきつい坑道内で、坑夫たちはきつい採掘作業をすべて手作業で行っています。「ちょっとした探検ツアーかも」と思って参加して、この現実を目の前に見せつけられると打ちのめされますね。ツアーを終え、鉱山の外に出たときの空の青さと澄んだ空気が心とからだに沁みてきます。

地元の人で賑わうミラフローレス温泉

ポトシからミクロ(バス)で40分のミラフローレスという町に温泉があります。あちこちに源泉の湯煙が上がり、食堂もあります。ここにはいくつかの共同浴場(水着着用・ロッカーのある浴場もあり)と個室風呂があり、共同浴場には現地の人でいっぱいのぬる目のプールと日本人好みの熱めのプールがあります。「朝から晩まで狭い真っ暗な坑道でコカの葉を噛みながら働く坑夫たちも、お湯に浸かって疲れを落とせる日があるのだろうか。あるといいな」と思いつつ、こうして旅ができる自分の幸せをしみじみと感じずにはいられない、そんな温泉です。