銀の枯渇と共に町は衰退するが…

世界遺産都市ポトシの続きです。さて、莫大な富を手にしたスペインですが、そのお金は他国との戦争や借金返済などに使ってしまい、結局、自国の産業の育成には使いませんでした。スペインに入った新大陸の富は、ほとんどスペインを通り抜けてヨーロッパの他国へと流れてしまいましたが、のちのヨーロッパの産業革命への下地を作ったのです。さて、莫大な銀を産出したポトシの銀山ですが、1700年代になると生産量がどんどん下がっていき、やがて銀は枯渇してしまいます。ポトシの町もそれにつれ、どんどんさびれていきました。しかし19世紀末になると銀に代わって新しく脚光を浴びた鉱物により、その命を吹き返します。それが錫(すず)です。

南米の世界遺産 銀で栄えたボリビアの古都「ポトシ市街」。その歴史と見どころ(後編) 南米の世界遺産 銀で栄えたボリビアの古都「ポトシ市街」。その歴史と見どころ(後編)

今ではボリビアの地方の中都市に

20世紀に入ると錫の輸出は銀を抜き、ボリビアの輸出の7割を占めるようになります。それにより、錫で設けた新興財閥が政治を動かしていきます。一方、さびれたポトシの町は復活しました。その後、錫景気も20世紀半ばにはピークを越し、今ではポトシは人口16万人の中堅地方都市に落ちついた感じです。さて、ポトシの町を訪れてみましょう。ラ・パスやスクレといった、ボリビアの高地にある他の町同様、ポトシはすり鉢状の小さな盆地にあり、底に当たる最も低いエリアが町の中心になります。その“底”の11月10日広場周辺に、カテドラルや市庁舎などの植民地時代に建てられた古い建物が多く、おもな見どころは徒歩圏です。

ポトシ一番の見どころは、銀貨を造っていた場所

ポトシ市街にある一番の見どころは、「旧国立造幣局」でしょう。セロ・リコ鉱山で採掘された銀はここで溶かされ、銀貨にされていました。現在は博物館になっており、英語とスペイン語によるガイドツアーで中が見学できます。私も見学しましたが、昔の銀貨の刻印機や貨幣のコレクションが展示されています。ガイドの説明もなかなか詳しくてためになりました。最初は馬でくるくると歯車を動かしていた刻印機ですが、次第に蒸気機関、そして電気に変わっていくのに時代を感じました。ところでガイドさんによれば、ボリビアでは現在、自国通貨は一切造っていないそうです。フランス、カナダ、チリに発注しているのだとか。かつてはここでスペイン銀貨を造っていたのを知ると、なんだか不思議な気がしました。

鉱山を見学するツアーもある

さて、ここまで読んだあなたなら、ぜひそのセロ・リコ鉱山を見てみたいと思いませんか。実は鉱山見学ツアーがあり、町なかにある旅行会社でも申し込むことができるのです。私は時間がなくて参加できませんでしたが、長靴やヘルメット、専用の作業着を身につけて鉱山の中に入るという本格的なものらしいです(所要4時間)。ただし標高4000mという酸素が少ない高所でのツアーなので、高山病に気をつけ、体調を整えて参加してください。ポトシへは首都ラ・パスから空路やバス(10時間)で行けるほか、スクレからはバスや車で2時間半、また絶景で有名な塩湖があるウユニの町からはバスで4時間ほど。ポトシ発のウユニ塩湖ツアーもあるので、ポトシと人気のウユニを組み合わせて観光してもいいですね。