- 伊藤篤史
- 福島県出身。学生時代に自転車でアメリカ大陸を横断。その日々が忘れられず、2011年6月より自転車世界一周に出発。世界の日常を自転車で巡りつつ、各所で自然とトレッキングを楽しむRide&Walkスタイルで旅行中(旅の詳細はa traveller's footprintにて。)海外の素敵なアウトドアアクティビティ情報をお届けします。
出発エリアをに変更しました。
『三本の塔』を意味するトーレス・デル・パイネ。足下の氷河から溶け出した氷がエメラルドグリーンの湖に注ぎ、神々しさすら感じる雰囲気です。
パイネ国立公園はパタゴニア地方に位置し、たおやかな草原、大地の息吹を感じる森、溜息の出る深い青の湖、地球の歴史が刻まれた大氷河とパタゴニアの見所がぎゅっと凝縮された場所です。公園の名前にもなっている三本の屹立した岩峰トーレスデルパイネから吹き下ろす冷たく鋭い風はここが間違いなく風の大地パタゴニアだということを否応なく実感させることでしょう。夏のシーズン時には世界中からトレッカーがこの地に広がる手つかずの大自然を求めてやってきます。ザックにキャンプ道具を詰めたブーツ姿はこの地の正装なのです。
園内ではリャマやアルパカの仲間であるグアナコをよく見かけることが出来ます。もし草原の向こうにダチョウのように走る影を見かけたら、それはニャンドゥで、この辺りでも大変珍しい生き物です。
トレッキングは日帰りから10日程かけて園内をぐるりと周るサーキットコースまで多様に用意されています。人気は3泊4日で主な見所をWの字を書くように周るWルート。このルートは公園入口でミニバスに乗り換えた先のラストーレスホテルが一般的な始点となります。ここを起点にまずトーレスデルパイネを目指します。この日中に往復する予定が決まっているならば、ここのキャンプ場に荷物を置いて行くと足取りが楽です。谷沿いを歩き、森を抜け、岩稜帯を登ると、エメラルドグリーンの湖を足下に湛えたトーレスデルパイネとの対面です。
ペオエ湖から見たクエルノ・デル・パイネ。『パイネの角』と呼ばれる特徴的な山容は長い年月をかけて氷河の浸食活動によって形作られました。
トーレスデルパイネの後は来た道を戻り、遠くに園内最高峰パイネグランデとクエルノデルパイネを見ながら、ノルデンショルド湖沿いを歩きます。イタリアノキャンプ場にある分岐からフランセス谷に入ることが出来ます。最奥部のビュースポットまで往復約4時間。パイネグランデの麓から溶け出した氷河が轟々と流れる沢沿いを歩いていきます。大きな石が転がっているので足を取られないように気をつけましょう。フランセス谷にあるブリタニコとイタリアノキャンプ場はどちらも簡素なキャンプ場で、シャワーや売店などの施設はないので注意。
グレイ湖畔のラゴグレイホテルからは、グレイ氷河に遊覧船で近づくツアーも催行されています。
ペオエ湖畔のパイネグランデキャンプ場から三時間半。左手に見えるグレイ湖の先にある巨大な氷河がグレイ氷河です。氷河終端で幅5にもなる大氷河。グレイ小屋の先から湖面に下りることが出来、融解して流れ出た巨大な氷がいくつも浮かぶ様を間近で見ることが出来ます。幻想的な青を湛えた氷塊がさらに溶け、手元に流れ着いた氷を一つすくってみると、驚くほどの透明度に改めて驚くことでしょう。トレイルはまだ先へ続きますが、Wルートはここが終点。来た道を引き返しペオエ湖からフェリーに乗り、対岸にあるバス停から街へ戻ります。
2011年に発生した大規模な山火事はトレッカーの火器が原因となって発生しました。この美しい自然を守っていくためにも火器は決められた場所で風に気をつけて使用しましょう。
■公園情報(http://www.torresdelpaine.com/ingles/)
パタゴニア随一の人気公園だけあって、山小屋での宿泊やキャンプ道具のレンタルなど、体力に自信のない方でも身軽に楽しめるサービスも整っています。
■公園へのバス(http://www.busesgomez.com/index.html)
時刻表はOLARIOをクリック。
バス会社は何社かあり前日にナタレスの宿で予約しておくとホテルにピックアップに来てくれます。帰りは予約なしでも乗車可能です。
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2014/10/17)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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