- 小目奈々緒
- メキシコ在住。夫の仕事の関係で突然決まった、未知の国・メキシコでの生活。不安で不安でたまらなかった当初のことも、今ではすっかり笑い話。食べ物、民芸品、旅行、遺跡など、今ではすっかりメキシコの虜に!何よりも、目と目が合えばニッコリ笑いかけてくれるような、素朴な人々に魅力を感じている。
出発エリアをに変更しました。
カンテラのオレンジ色の灯が町に点り始める夕暮れ。グァナファトを紹介する本や雑誌では、大抵この眺めがTOP写真で使われる。そのくらい、ここからの眺望は有名
かつてスペインに征服された歴史を持つメキシコには、当時の面影を今でもとどめているコロニアル都市が数多くある。その中でも特に美しいとされるのが、ここグァナファト(グァナファト州の州都)である。その為、町全体がユネスコ世界文化遺産に登録されている。18世紀の鉱山ブームによって築かれたこの美しい都市は、芸術の町・学生の町としても知られ、“国際セルバンテス祭(毎年10月上旬〜下旬)”、“国際書籍文化祭(毎年3月〜4月)”が開催されることでも有名である。
レストランや雑貨屋が並ぶラパス広場前。広場横にはバシリカも建っており、眺めのよさから昼食やカフェをこの付近でとる人が多い。色とりどりの花が咲き乱れる、のどかで美しい景色
町の魅力は数多くあるのだが、何と言ってもピピラの丘から見渡す眺めは外せない。朝・昼・夜と、その瞬間瞬間で違う顔を見せてくれるのだが、私のお勧めは黄昏時。太陽が沈むと、あちらこちらでカンテラが灯り始め、町が薄闇で覆われていく。“闇に完全に覆われてしまう少し前”、この短い時間帯が最高に美しくロマンチックなひと時である。時間に余裕があるのなら、午前中、朝日に輝く町を眺めに再度訪れるのもいいだろう。中世の面影を残すその姿に魅了され、時間の経つのを思わず忘れてしまうはず。
芸術の町だけあって、路上でこんな風景も見かける。ここはサンディエゴ教会前
グァナファト名物に、エストゥディアンティーナと呼ばれる楽団がいる。彼らは中世スペインの学生服を着て、夜の町を歌いながら練り歩くのだ。そして彼らと共に歌いながら、観光客が後に付き従う。まるでエストゥディアンティーナの歌声に魅了されたように人々がついて行く姿を見て、『ハーメルンの笛吹き男』という童話を思い出した。なんとも不思議な、そして魅惑的な光景だった。彼らは時折立ち止まり、その場で何曲か愛の歌、セレナータを披露する。そしてまた次の地点へと向かって歩き始め、最終的にグァナファト大学前に戻ってくる。
グァナファト名物『エストゥディアンティーナ』。中世ヨーロッパを髣髴とさせる町を、彼らと一緒に愛の歌を歌いながら歩いてみよう!
エストゥディアンティーナは、何組も存在する。現役学生もいれば、OBらしき年配グループもいる。どの楽団も大抵週末を中心に活動しているが、夏期は平日にも行われる場合がある。始まる時間は大体、夜8時半〜9時。出発地点もラウニオン公園前だったり別の場所だったり、団体によって異なる。予約は不要だが、そういった事情があるので、事前に観光案内所やホテルのフロント等で詳細を確認しておくことをお勧めする。参加費用はどの団体も大体80ペソ前後(約900円程度 2007年11月現在)。
人々が手にしているのが“ポロン”。一緒に歩き回った後は連帯感も湧いてくる!?最後はみんなで乾杯!
学生からチケットを購入すると、ポロンと呼ばれるお猪口のような物との引換券をくれる。ポロンが活躍するのは最後の最後。受け取ったらしっかりと持っていよう。1時間〜1時間半の散策が終了し、グァナファト大学まで戻ってきたところで、エストゥディアンティーナ達がポロンに飲み物を注いでくれる。もともとはお酒だったのかもしれないが、子供や未成年者もいるためか、今はジュースが振舞われることが多いようだ。全員のポロンが満たされたところで“乾杯!”こうしてグァナファトの夜は更けていく。こんなロマン溢れた旅は如何?
※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2007/11/26)
※旅行前には必ず、外務省の海外安全ホームページで訪問地の安全情報についてご確認ください。
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