メキシコのウルトラ・バロックはどうやってできた?

16世紀、メキシコはスペインの植民地で、世界の80%を超える量の銀が採れる豊かな銀山がありました。銀で膨大な富を得た資産家たちは、凝りに凝った装飾の教会を建築し、争うように寄進しました。この当時、イタリアで生まれたバロック様式がスペインに入り、イスラム文化と混じって、独特のスペイン・バロックを生みましたが、それがメキシコに持ち込まれ、こういった教会建築に取り入れられました。豊かな銀のおかげで、当時のメキシコにはインドや中国など世界中の美術品や工芸品が流れ込み、それらの影響に先住民の文化も加わった独特のメキシコ・バロックが花開いたのです。あまりにも凝った装飾であることから、これをウルトラ・バロックと呼ぶ人もいます。

ウルトラ・バロックで埋め尽くされたメキシコの教会(その1)オアハカとトルコルーラ ウルトラ・バロックで埋め尽くされたメキシコの教会(その1)オアハカとトルコルーラ

ウルトラ・バロックの代表作サント・ドミンゴ教会

ウルトラ・バロックの特徴は、木彫りの天使や植物などに彩色したり金泥を施したものが、空間恐怖症のように隙間という隙間を覆い尽くしていることです。その密度はすさまじいもので、よくもこれほど埋め尽くせるものだと半ば感心し、半ばあきれるほどです。メキシコ南部の街オアハカにあるサント・ドミンゴ教会は、ウルトラ・バロックの代表作といえるでしょう。この教会で有名なのが、入口の天井にある「生命の木」です。樹木に咲いた花の部分に聖人が配置してあり、先住民の文化とキリスト教文化が融合した作品だといわれています。内部も過剰な装飾で埋め尽くされていますが、過剰なゆえに異様な迫力を放っています。

オアハカで見逃せないもうひとつの重要なバロック教会

オアハカから東へ約30km(バスで約50分)のところにあるトルコルーラには、もうひとつ重要なバロックの教会があります。サント・ドミンゴ教会です。その中にあるサン・クリスト礼拝堂は、ウルトラ・バロックの傑作と呼ばれています。マリア像を戴いた聖壇は、金箔で飾られ、おごそかな緊張感をたたえています。壁面の見るとアラベスク模様で装飾されており、いかにもイスラム文化の影響を受けているのが見て取れるでしょう。オアハカに来たら、ここはぜひお見逃しありませんように。