銀の採掘で栄えた町、タスコ

メキシコシティから南西へ約170km。山間の斜面に、タスコという人口10万人の町があります。平地ではなく、なぜこんな山の斜面に町が造られたかというと、ここはスペイン植民地時代に銀の採掘で栄えた町なのです。1532年にここで銀が見つかると、スペイン人が銀を求めてやってきたのが町の始まりです。しかしこの町が繁栄するのはもう少し後のこと。18世紀になり、ここにやってきたボルダが銀の大鉱脈を発見してからです。ゴールドラッシュならぬ「シルバーラッシュ」となり、町は拡大。銀で得た富によって、ボルダは教会や建物でこの町を飾りました。やがて銀の鉱脈が枯れると町は衰退していき、町の中心部には18世紀の建物が残されました。そんなわけで、タスコは近世の建物やコロニアル建築が今も残る古都として、観光客を集めているのです。

山の中腹に開けた小さなコロニアルタウン 山の中腹に開けた小さなコロニアルタウン

メキシコシティからはどうやって行く?

それではタスコに行ってみましょう。タスコへはメキシコシティの南バスターミナルから1時間に1〜2本の頻度で、バスが出ています。所要約3時間なので日帰りもできますが、できれば1泊してのんびりしたいところです。ただし、町の中心部の観光だけなら、3時間もあればすんでしまうでしょう。町の中心は、他のコロニアル都市と同様にソカロと呼ばれる広場です。タスコのバスターミナルは、バス会社ごとに分かれていますが、いずれもソカロから徒歩10分ぐらい。ただし、ソカロまでは急坂を登っていかなくてはならないので、荷物があればタクシーを使っていくのもいいでしょう。タスコは山の斜面にある町なので、平らなところの方が少ない、そんな町なのです。

必見はウルトラバロック様式のサンタプリスカ教区教会

このタスコで必見なのが、ソカロに面して建つサンタプリスカ教区教会です。2つの鐘楼が正面に建つこの教会は、18世紀に銀鉱王のボルダが私財を投げ打って町に寄贈したもの。正面ファザードの装飾も見事ですが、中がすごいのです。いくつかある祭壇は、「ウルトラバロック」とも呼ばれるチュリゲラ様式で飾られています。これは17世紀末から18世紀にかけてスペインで流行った独自の建築・装飾様式で、バロック様式のひとつ。とにかく「過剰」とも言える造り込みが特徴なのです。(後編に続く)