メキシコの世界遺産はマヤ遺跡だけじゃない!

メキシコには、文化遺産と自然遺産を合わせて、全部で32のユネスコ世界遺産があります。今回紹介するのは、1993年に「サカテカス歴史地区」として世界遺産に登録されたサカテカスの町です。「え、知りません」という人も多いでしょう。メキシコの観光地というと、どうしてもマヤの遺跡やティオティワカンのピラミッド、またはカリブ海が浮かびますよね。しかし観光的には、スペイン植民地時代に栄えたコロニアル都市も見応えがあるのです。代表的な町はグアナファトで17〜19世紀のコロニアル建築が残っていますが、このサカテカスもそんな都市のひとつです。行き方は、首都であるメキシコ・シティからは空路(所要約1.5時間)、もしくはバス(所要約8時間)ですが、それぞれ本数も多く、アクセスも悪くはありません。

ブーファの丘からサカテカス歴史地区を見下ろす。カテドラルの2つの鐘楼が見える ブーファの丘からサカテカス歴史地区を見下ろす。カテドラルの2つの鐘楼が見える

スペイン人の到来により16世紀に銀で発展した町

中央高原北西部にあるこの都市の標高は2250メートル。今では人口約14万人の地味な地方都市ですが、スペイン植民地時代には大いに栄えていた都市でした。1521年に現メキシコ・シティにあったアステカ帝国を滅ぼしたスペインは、その後、徐々に支配地域を拡大し、1540年にサカテカスにやってきます。すぐにこの土地から銀が採掘できることがわかり、1548年に初めての銀山が開かれます。以降、銀を求めて多くのスペイン人がやってきましたが、それ以上に労働力として先住民のインディオやアフリカの黒人奴隷が連れてこられました。人口は増えていき、1585年には市制になりました。鉱山から発掘される金や銀により、16世紀末のサカテカスは、メキシコ・シティに次ぐ重要な町だったと言います。

繁栄が終わり、建築物が残る

また、インディオへの布教の拠点として、多くの修道会もここに置かれました。金や銀の採掘量のピークは、17、18世紀といいますが、鉱山は1960年まで操業を続けていました。その間、銀がもたらした繁栄により、市内には豪華な教会や邸宅が次々と建てられました。メキシコで採れた銀は、本国に送られたばかりでなく、やがて太平洋を渡って中国の明や清にも流れ込んだのですよ。その後、産出量の減少とともに、町は衰退していきます。そのため17〜19世紀に建てられた古い建物が、中心部の「歴史地区」に、今でも数多く残っているのです。(その2に続く)