アメリカまで続いていた「銀の道」

「メキシコの世界遺産 サカテカスの歴史地区」その1からの続きです。メキシコ・シティから北上してケレタロを通り、グアナファト、あるいはサン・ルイス・ポトシを回ってサカテカスにたどり着く道は、17、18世紀、「カミノ・レアル・デ・ティエラ・アデントロ(内陸部の王の道)」、あるいは「銀の道」と呼ばれていました。重い銀を運ぶには馬車が必要だったので、このルートには石畳の道が敷かれていたのです。スペインがさらに北へ勢力を拡大すると、この道はさらに延長され、最終的には現在のアメリカのニューメキシコ州まで延びていきました。この銀の道も、2010年に「ティエラ・アデントロの銀の道」として世界遺産登録されています。サカテカスはそちらの世界遺産にも入っているのですね。銀によって潤ったサカテカスも、やがて銀の産出量が減ると衰退していきます。しかしそのおかげで、古い建物や町並みが今も残っているのです。

「ウルトラバロック」とも呼ばれる、サカテカスのカテドラルのファサードの彫刻 「ウルトラバロック」とも呼ばれる、サカテカスのカテドラルのファサードの彫刻

町のシンボルはカテドラル

町の中心は他のコロニアル都市同様に、州庁舎やカテドラルがあるアルマス広場。ただし、町が斜面にあるので、道はきっとりとした碁盤の目状にはなっていません。街歩きもこのアルマス広場からスタートしましょう。カテドラルの創建は1612年ですが、現在の建物は1729年から1752年にかけて建てられました。建物はピンク色の砂岩でできています。「メキシカンバロック」、あるいは「ウルトラバロック」とも言われるチュリゲラ様式のファサードは、下から見上げるとため息がでてしまうほど、過剰な装飾で満ちたバロック様式です。その外観の割には地味な内部なのですが、かつては金や銀で過剰な装飾がなされていたようです。銀で栄えている間、多くの寄付が集まったのでしょうね。しかしそれらはメキシコ革命時に略奪されてしまい、今は地味な内観になってしまったのです。

歴史地区にある古い建物

カテドラルの並びにあるオルテガ市場は、その名の通りかつては市場だったのですが、現在はカフェや土産物屋、観光案内所が入っている建物になっています。その向かいには、1890年に建てられた豪華な「カルデロン劇場」があります。ベネチアングラスの装飾がきれいな内部もさることながら、夜になるとライトアップされる外観も素敵です。カテドラルから2ブロック離れたところにある「サント・ドミンゴ教会」は、1740年代にイエズス会によって建てられたバロック式の教会です。のちにイエズス会の活動が禁止されると、この教会はドミニコ派のものになりました。町には他にも古い教会もありますが、もうひとつの重要な教会建築は、郊外のグアダルーペの町にあるフランシスコ修道会のグアダルーペ修道院とその教会でしょう。(その3に続く)