銀で栄え、歴史的な建物が残る世界遺産都市

メキシコの中央高原北西部にある都市、サカテカス。ここは今でこそ人口14万人という小さな町ですが、16〜18世紀にはここで採掘された銀がもたらす富で、繁栄をしていた町です。その時代の雰囲気を残す旧市街は、世界遺産にも登録されています。さて、今回紹介するのはその当時の建物ではなく、町なかにある3つのミュージアムです。意外や意外、現代美術の作品も充実していて、訪れてみる価値ありなのですよ。サカテカス出身の画家に、ペドロ・コロネルとラファエル・コロネルというふたりの兄弟がいます。ふたりはメキシコの壁画の巨匠ディエゴ・リベラのいとこですが、そのふたりがそれぞれ収集したコレクションを展示した博物館があるのです。

2000点以上の仮面が展示されたラファエル・コロネル博物館 2000点以上の仮面が展示されたラファエル・コロネル博物館

メキシコ各地で集めた仮面が勢ぞろいする博物館

「ラファエル・コロネル博物館」は町の中心のカテドラルから、道なりに北へ10分ほど歩いたところにあります。博物館の建物は16世紀のフランシスコ修道院を利用したもので、これも一見の価値があります。それでは中に入ってみましょう。ラファエル・コロネルが集めた、メキシコ各地の民芸品や土器、調度品などを展示していますが、その大半を占めるのが仮面と人形です。メキシコではお祭りや宗教儀式のときに、人々が仮面をつけて踊ったり劇をしたりする習慣が各地にあるのですが、それをまあよく集めたなと思うくらい展示しているのです(2000点以上あるとか)。もちろんそれぞれにそのキャラクターや意味があるのでしょう。しかし何も知らないで見ていると、かなり奇怪なものや意味不明なものもあります。誰もいない部屋で見ていると、怖くなってくるほどの不気味さをたたえたものもあります。

新旧入り混じった人形のコーナー

ジャガーやヤギなどの動物の仮面、男や老人、女性などの人間の仮面…。ローマ兵士や王様の仮面は、キリストの生誕を祝う芝居に使う仮面でしょうか。不思議なのは大きく口を開けた動物の中から人の顔がのぞいている仮面。どうせ人が被るのに、被っている人の顔まで仮面にしているのです。怖いのは、悪魔や死神の仮面ですね。次は人形のコーナーです。マリアッチの楽団の人形セットは見ていて楽しいですね。昔の村を舞台にした芝居に使う、あやつり人形などもありました。人形はそうした近代以降のものばかりではありません。まるで幼児のような姿をした、古代オルメカ時代の人形(像)には、不気味な迫力を感じました。開館日は水曜を除く10:00〜17:00で、入館料は30メキシコ・ペソ(約210円)でした(2016.7現在)。(後編に続く)