旅先でいただくお酒の楽しみ

旅先でその土地の料理とお酒をいただくのは、旅の醍醐味のひとつですね。地元の居酒屋でおじさんたちと一緒に飲む、“どぶろく”のような超ローカルな地酒が特に好きです。ただしそういうお酒は洗練されておらず、最初のひと口に少し勇気が要ることもあります。それでも周りのおじさんたちが「こいつ飲めるのか?」って顔で興味津々で見ている中、こちらがグビグビ飲むと途端に「おお!」って嬉しそうな笑顔になったりすることもあり、お酒の味以外のその「場」の雰囲気も楽しいんです。さて、そんな「どぶろくシリーズ」第1弾(第2弾があるかは未定)、アンデスのどぶろく「チチャ」をご紹介しましょう。

アンデスの地酒「チチャ」を飲みにチチェリアへ行こう アンデスの地酒「チチャ」を飲みにチチェリアへ行こう

インカのお神酒「チチャ」

チチャは南米アンデスで飲まれているお酒で、なかでもペルーとボリビアのものが有名です。インカの時代以前から飲まれている、祭祀儀礼に欠かせない大事なお酒です。これはトウモロコシを発酵させて作る醸造酒で、もとはトウモロコシを噛んで唾液を混ぜ、その酵素で発酵させていた「口噛み酒」でしたが、今ではこの手法は行われなくなってしまいました。しかし、今でも手作りで作られているのは変わりません。発芽したトウモロコシを干して粉にし、水を加えて煮詰め、甕に入れて数日放っておくとできあがりです。

チチャは「チチェリア」で飲む

では、このチチャというお酒はいったいどこで飲めるのでしょうか。チチャを飲む地域は限られていて、ボリビアではコチャバンバという町がアンデス一の本家本元とされています。またペルーではクスコとウルバンバ渓谷一帯で飲まれています。これらの地域では、チチャを飲める店を「チチェリア」といいますが、このチチェリア、看板を出しているわけではなく、そのサインを知らなかったら絶対見つけられません。そのサインとは、竿の先に赤いビニール袋を巻きつけて、それを軒先に立てておくのです。これが「チチャあります」の看板なんですよ。

アルコール低めで酸味の効いたどぶろく

入り口は一見どうみても普通の民家。しかしでも赤ビニール袋のサインが出ているので、恐る恐るでも入ってみましょう。中は質素で、土間にテーブルと椅子があり、部屋の片隅に大きな樽が置いてあります。チチャは発酵を止める作業をしないので、樽の中の上部は発酵が進んでいるため泡で覆われています。それをおばちゃんがコップにすくってくれます。薄茶色に濁ったチチャがジョッキで出てきました(笑)。ではまず大地の神パチャママに捧げるために、地面にひと垂らし。そしてグビリとひとくち。ちょっと酸っぱいです。クセはあるけど悪くない。アルコールはビールより低いですが、なにしろここはアンデスの3000m以上の高地、飲みすぎには注意しましょう。