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海外現地発ガイド通信

2000年続く伝統の技 トトラ舟の作り方


掲載日:2014/05/26 テーマ:観光地・名所 行き先: ペルー / リマ

タグ: おもしろい ロマン 珍しい


21世紀の今も現役の葦舟、カバジート・デ・トトラ

完成したばかりのカバジート・デ・トトラと、地元漁師のビクトルさん 完成したばかりのカバジート・デ・トトラと、地元漁師のビクトルさん

ペルー北部の海岸でよく見られる葦舟「CABALLITO DE TOTORA(カバジート・デ・トトラ)」。トトラはペルーの海岸部から標高約4000mの高地にかけ分布するカヤツリグサ科の多年草だ。水辺に自生し栽培もされるこのトトラは、いにしえより家屋や舟の素材、食料として広く利用されてきた。およそ2000年前にペルー北部の海岸地方で興ったモチェ文化の出土品にも、トトラ舟を操る漁師を模った土器は多く、その姿かたちは21世紀の今でもほとんど変わっていない。今回、ラ・リベルタ州の港町ワンチャコで、地元漁師ビクトル・ウカニャンさんにこのカバジート・デ・トトラ製作に関する一連の作業を見学させてもらうことができた。ワンチャコの漁師に代々受け継がれてきた伝統の技を紹介しよう。

砂浜に作られたトトラ畑

ビクトルさんのトトラ畑。ワンチャコの漁業組合に加盟している漁師なら、自由に畑を作ることができるそうだ ビクトルさんのトトラ畑。ワンチャコの漁業組合に加盟している漁師なら、自由に畑を作ることができるそうだ

まずはトトラを栽培する畑「WACHAQUE(ワチャケ)」へ。ワンチャコの浜辺を北上していくと、ムシロで囲まれたトトラ畑が見えてくる。周囲は一面の砂地だが、数メートル掘るだけで地中から水が湧き出し、天然の溜池ができるのだそうだ。トトラ栽培に適した土地が集落のすぐそばにあったからこそ、ワンチャコではトトラ舟の製作が盛んになったのだろう。ワチャケの大きさはまちまちだが、ビクトルさんの畑でおよそ7m×4m。1年で高さ約4mに成長するトトラを根元近くで刈り取り、砂地に広げて2週間ほど天日で干す。また、根の付いたトトラを新しい畑に植え替えるのも忘れてはいけない。水田に苗をさすように、数本ずつまとめて植えつけるのがコツだという。

匠の技でトトラ舟を作る

船尾(釣った魚を乗せる凹み部分)の長さは、乗り手である漁師の胸元までの高さとされている。ビクトルさんも自分の身体に合わせて切り取ったトトラを使い、位置を測っていた 船尾(釣った魚を乗せる凹み部分)の長さは、乗り手である漁師の胸元までの高さとされている。ビクトルさんも自分の身体に合わせて切り取ったトトラを使い、位置を測っていた

トトラが乾いたら、いよいよ舟作りの始まりだ。まず、浮力用の発泡スチロールを芯にして束ねたトトラを紐で縛り、細長いタケノコ状に成型する。舟の母体となる「MADORE(マードレ/母)」と、その半分程度の「HIJO(イホ/子)」と呼ばれるパーツを2組ずつ準備。母の紐を少し緩め、上に子を置いて母で包み込むように再度縛り上げる。同じ工程で母と子のセットをもう一組作り、それを左右に並べて紐で合体させ、一艘の舟に仕上げていくのだ。トトラ舟は構造が単純なだけに、左右のバランスが大切。秤や特別な道具を一切使わず、経験だけで自分に合った舟を作り上げていくその技術は見事としか言いようがない。

2000年も続いてきたトトラ舟の歴史が今、途絶えようとしている

仕上げはビクトルさんの兄弟や知人も参加してみんなで行う。トトラの束を細い紐で縛り上げていく作業は、力のいる大変な仕事だ 仕上げはビクトルさんの兄弟や知人も参加してみんなで行う。トトラの束を細い紐で縛り上げていく作業は、力のいる大変な仕事だ

トトラ舟製作にはおよそ1時間を要した。今回パーツの一部は事前に準備されていたので、実際には2時間近くかかるだろう。これだけの時間と労力をかけて作られるトトラ舟だが、長くても1ヶ月ほど、毎日漁に出ると2週間しか持たないという。そのため漁師は自前の舟を常時3艘は準備しておく必要があり、トトラの刈り取りや植え替えも頻繁に行わなければならない。「今はこんな苦労をしなくても、簡単に稼げる仕事がたくさんあるからね。私たちのような伝統漁法を継ぐ漁師はどんどん減っているんですよ」とビクトルさん。ワンチャコで今トトラ舟を扱える漁師は30人程度という。波浪によるトトラ畑の浸食も危惧されており、近年ではトトラの使用や栽培を国家文化遺産に指定するなど、自治体や国が協力してトトラ舟にまつわる文化を保護しようとする動きがある。

【関連情報】

ワンチャコの浜辺に並ぶカバジート・デ・トトラ ワンチャコの浜辺に並ぶカバジート・デ・トトラ

■CABALLITO DE TOTORA/カバジート・デ・トトラ
※ラ・リベルタ州の州都トルヒーヨから車で10分ほどのワンチャコ海岸を始め、ペルー北部海岸の港で見ることができる。
※ワンチャコでは、カバジート・デ・トトラの試乗ができる。浜辺の漁師と直接交渉、15分で8〜10ソレス(約290〜360円)。
※ビクトルさんによる「カバジート・デ・トトラを知るツアー」は150ソレス(約5400円)。出来上がったばかりのカバジート・デ・トトラの初試乗付き。
SR. VICTOR UCAN~AN
住所:Calle independencia 196

 

※記事は掲載日時点での情報であり変更されている可能性もあります。ご了承下さい。(掲載日:2014/05/26)
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※この記事はガイドレポーターの取材によって提供された主観に基づくものであり、記事は取材時時点の情報です。
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