イギリスとフランスが交互に領有を分け合った国

カリブ海の東南部に点々と小さな島が続く小アンティル諸島には、日本人にはなじみの薄い小さな島国が並んでいます。17世紀にイギリスやフランス、オランダがカリブ海に進出したころは、キューバなどすでに大きな島はスペインのものになっていました。そのため各国は、当時注目されていなかったこの諸島の小さな島々を分け合う形になりました。今回紹介するセントルシアは、そんな代表格の島国。何しろフランス人が植民して以来、イギリスとフランスの間で14回も領有権が変わったという場所です。最終的には1814年にイギリス領となりました。

カリブのミニ国家、セントルシア(前編) 世界遺産「ピトン」は火山が造った絶景 カリブのミニ国家、セントルシア(前編) 世界遺産「ピトン」は火山が造った絶景

山地が多い火山島。それを生かした観光業が発展

セントルシアの人口は約18万人。面積は616平方キロで、淡路島よりも少し大きいぐらいでしょうか。島の形は洋梨に似ています。島の中心は標高951メートルのジミー山などがある山地で、そのためおもな町は島の周辺の海岸線に沿って点在しています。産業はバナナやコプラのプランテーションによる農業と観光業。住民の8割以上は、プランテーションで働かせるために連れて来られた、アフリカ系黒人の子孫です。セントルシアは1979年にイギリスから独立しますが、これといった資源がないこともあり、観光産業に力を入れています。たとえば、山がちな地形を生かして熱帯雨林のハイキングコースを充実させたり、火山があることから“温泉”を開発したりといった具合です。

セントルシアの世界遺産は2つのとんがり山「ピトン」

このセントルシアの見どころで、おそらく最も有名なのは、2004年にユネスコの世界遺産に登録された「ピトン管理地域」でしょう。ピトンは火山によって造られた、海に突き出たとんがり帽子のような2つの山です。その特徴的な姿はセントルシアのシンボルでもあり、昔からカリブ海を航行する船乗りたちのランドマークでした。低いプチ・ピトンが743メートル、高い方のグロ・ピトンは798メートルあり、両方とも登ることができます。グロ・ピトンのほうが傾斜が緩やかで、入口で入山料を払えばガイドが山頂へ案内してくれます。人によってはかなりきついようですが、頂上までの所要時間は2時間ほど。ただし最後は、岩場で両手両足を使って登らなければならないそうですが…。プチ・ピトンはガイドが常駐しておらず、また登るのも困難なので、ホテルや旅行会社に頼んで、あらかじめガイドを用意してもらうのがいいでしょう。(後編につづく)