ウォール街近くのビジネス街にある「赤い箱」

ニューヨークのマンハッタンを歩いていると、ときおり現代アートのモニュメントを見かけることがあります。そんな時、ニューヨークはエンタテイメントだけでなく、アートの街であることも実感します。今回紹介するのも、そんなニューヨークを歩いていて見つけたモニュメント。モノトーンで無機的なビル群が囲む中、モノクロ映画の中に一点だけ色をつけたようにインパクトのある真っ赤なキューブがありました。サイコロのようですが、穴が空いているのは一点だけ。そして、角が地面に突き刺さったような形で、インパクト大です。これがウォール街にある「レッド・キューブ」です。写真で見るとそうでもないのですが、実物を目にするとかなり大きいですよ。作者は、有名な現代彫刻家イサム・ノグチです。

オフィスビルに囲まれたモダンな地区にあるレッド・キュープ オフィスビルに囲まれたモダンな地区にあるレッド・キュープ

作者は日系アメリカ人

イサム・ノグチは、1904年にロサンゼルスで日本人の父親とアメリカ人の母親の間に生まれました。3歳の時に日本に渡り、茅ヶ崎で成長したノグチは、やがてアメリカへ戻って1923年にニューヨークのコロンビア大学医学部に進学します。しかし芸術の道も捨てがたかったようで、大学を中退。やがて彫刻家として注目を浴びるようになります。1930年代にはメキシコの女流画家、フリーダ・カーロと付き合っていたこともあるとか。そんな彼も、第二次世界大戦中は日系人収容所に入り、苦労したそうです。

日本とアメリカの架け橋として様々なプロジェクトに

戦後には徐々に芸術家としての地位が確立していき、数々のプロジェクトに参加。また、1951〜55年には、女優の山口淑子(李香蘭)と結婚していたこともあります。ニューヨークと日本を行き来して作品を作り続けたノグチですが、晩年にはニューヨークを代表する作家になりました。ニューヨークのクイーンズには、ノグチのアトリエがあった場所にノグチ美術館もあります。

レッド・キューブはどこにあるの?

さて、このレッド・キューブがあるのは、ロウアーマンハッタンのウォール街近く、ブロードウェイ(場所ではなく通り)に面した「Brown Brothers Harriman」ビルの前ですね。造られたのは1968年です。アスタープレイスにあるキューブの現代彫刻「アラモ」より、かなり大きいです。グウンドゼロとチャイナタウンの間ぐらいにあるので、ニューヨークを訪れた際、散歩がてら歩いて行ってみてもいいでしょう。そして、イサム・ノグチのことも思い出してくださいね。
●レッド・キューブ 住所/123 Broadway, New York