熱帯の暑い日中に無理して観光すると…

熱帯を旅していて、何度か見かけたことがあるのが、「日射病」でダウンし、高熱が出てしまった日本人旅行者です。現地の人は誰も歩いていない暑い日中でも、旅行者はけっこうがんばって観光してしまうものです。夏の暑い日中のスペインは、シエスタの習慣もあるのですが、歩いているのは旅行者だけ。イランでも40度を超す真夏の日中に外を歩いているのは観光客だけでした。日本人も、日本にいれば「こんな暑い日は外を出歩きたくない」と思うときがあるでしょう。そんな炎天下の中で日に当たり、汗が出過ぎて脱水症状になるのが「日射病」です。

最初は自覚がない「熱中症」

問題は「暑いけど乾燥している場合」は、汗をかいているという自覚があまりないということです。たとえば汗ぐっしょりになったら、「これはまずい。日陰で水を飲まなきゃ」と思いますが、乾燥していると汗が出たそばから蒸発して行くので、当人は汗をかいていることに気がつかないのです。汗が出なくなると体温を下げることができず、どんどん体温が上がり、やがて意識がもうろうとしてきます。これが「熱射病」です。日向でなるのを「日射病」、屋内や乗り物など直接日が当たってなくてもなるのが「熱射病」で、ともに「熱中症」とも呼ばれます。

「熱中症」にかかったときの応急処置

昔、シリアで一緒にバス旅をしていた友人が、この熱射病にかかりました。彼は、トイレや生水を飲むことの心配などから、40度近いバスの中で充分な水分補給をしませんでした。その晩、みるみる体温が39度まで上がり、意識がもうろうとしてきました。こうなると水を飲んでもなかなか体が吸収しません。エアコンの部屋に移って点滴を打つのが一番ですが、その時はどちらもかなうような場所ではなく、「水シャワーで体を冷やす」→「塩と砂糖をもらい臨時の経口補水液を作って飲ます」→「ホテルで氷をもらってタオルを冷やし、動脈が体の表面に近い首回りやももの付け根などを冷やす」といった応急処置をしました。それでも、体温が下がるまで1日かかりました。いくら水や食べ物に気をつけていても、こんなことで病気になる場合があるので、気をつけてください。「経口補水液」用の粉末は、現地の薬局でも買えます。