木の枝が歯ブラシ!

インド西ベンガル州の田舎を朝方、散歩していたところ、木の枝を口にくわえてなにやらさかんに動かしているのを見かけました。不思議に思って近づいて見ると、何と歯ブラシだったのです!これはニームと呼ばれる木の枝の先を歯で噛み潰して広げ、歯ブラシ代わりに使っていたのです。何だか面白そうなので、筆者もさっそく買い求めて試してみました。口の中に広がるニームの苦い汁に一瞬ぎょっとしましたが、どうやらこの苦味が殺菌効果をもたらすようです。

歯ブラシにもなる木! ニームにまつわるエトセトラ 歯ブラシにもなる木! ニームにまつわるエトセトラ

ニームとはどんな木?

ニームの和名はインドセンダン。インド原産の木で高温や暑さに強く、乾燥にも耐える植物で、種・実・葉・樹皮・花など多くの部位が活用されています。現在では市販の歯磨き粉や石鹸に使用されていたりもしますが、インドの伝統医学アーユルヴェーダでも古くから使われている素材です。高い除虫効果を持ち、種から抽出するエキスは古くから除草剤としても使われていました。インドの農業では今でも化学除虫剤が多く使われていますが、散布する農家の身体への負担が大きく、化学薬品よりも効果は弱いけれど人体に害の無いニームを使った除虫にシフトする農家も増えています。

新年を知らせる風物詩「ニームの花のジャム」

筆者が南インドのタミル・ナードゥ州で暮らしていた時にも、ニームは生活のいろいろな場面に登場しました。タミル・ナードゥ州は独自のタミル暦を持っていますが、西暦の4月がタミル暦の新年。新年を迎える際にはニームの花を使ったジャムのようなものを食べます。材料はニームの花、椰子砂糖、タマリンド、唐辛子に塩などです。ニームの花の苦さと、椰子砂糖の甘さ、タマリンドの酸味など、それぞれの素材の味が人生には酸いも甘いも含め色々なことがあるということを教えてくれるのだとか。3月頃から市場でも、ニームの花が量り売りで買えるようになり、それを見るとタミル地方の新年の訪れを感じることができます。

木陰も気持ちの良いニーム!

「タマリンドの木陰は身体に悪いが、ニームの木陰は身体に良い」という言葉もインドではよく耳にします。筆者がインドで住んでいた家の門のそばにもニームの木があり、家に出入りするお手伝いさんや運転手はその木の下で身体を休めることが多くありました。実際、ニームの木の下は熱帯らしい清涼感が感じられて気持ちよいですよ。インド旅行で疲れた時には、ニームの木陰を見つけて休憩するのはいかがでしょうか?