インドではあまり一般的ではない温泉

日本人はとにかく温泉が好き。海外へ行っても、温泉と聞くとがぜん興味が高まるという人は多いと思います。台湾や朝鮮統治時代に、現地でそれぞれたくさんの温泉が開かれたという話も、日本人の温泉好きを物語っています。私個人についても、それが日本のように熱いお湯が豊富にあって、清潔な所かどうかも分からないうちから行きたくなってしまう習性があるようです。とくに温泉の少ないインドでは、希少価値も手伝ってどうしても気になる場所なのです。

ひと味違ったタタパニ温泉

そんな貴重なインドの温泉のひとつが、今回ご紹介するタタパニです。インド北西部のヒマーチャル・プラデーシュ州にある温泉地で、名前は「熱い湯」の意味。避暑地として有名なシムラーの町からバスで約2時間30分。緑多い谷あいの、川のほとりのタタパニ村に到着しました。商店やゲストハウスが並ぶなか、立派な建物が目立つ「ホテル・ホットスプリング・テルメ&スパ」にチェックイン。実はインド北部の山岳地帯は、インドのなかでも比較的温泉が集まっている場所ですが、それらは寺院の中の沐浴場である場合がけっこうあります。しかしこのタタパニ、それらとはひと味違った現代的な温泉でした。

村には場違いなほどの立派な施設

滞在したホテルは、こんな小さな村には場違いなほどきちんとしていました。建物内部に入ると立派なフロントが、さらに奥にはレストランと温泉プールがあります。プールの外のテラスでは、周囲のすがすがしい景色を眺めつつ、ほてった体を冷ますことができます。また、家族で入れる個室の温泉が2つ。2階にはマッサージやパックが可能なスパさえあるのです。もちろん部屋もきれいで冷房付き。外国人を受け入れても問題ないほどの施設が、こんな何もなさそうな山あいにあるとは驚きです。正規料金は1室3800ルピーでしたが、オフシーズンということで交渉すると割引で泊めてもらえました。

インド初の温泉ホテルをイタリアから導入

水着を着て、早速温泉に入ります。形がプールのためか、少しぬるめなのも気になりません。かえって長く入っていられてとても気持ちいいのです。このホテルのオーナーはインド人で、奥さんはイタリア人とのこと。彼らはここで知り合い、イタリアに10年間住んでいたそうです。そして3年前にインドに戻り、インド初だという温泉付きホテルをオープンさせたのでした。どうりで名前もヨーロッパらしいですし、お風呂に西洋風のタイルが使われていたはずです。このタタパニ、シーズン中(10月から5月にかけて)は、近くの河原で地面に穴を掘って湯に浸かろうと、インド人観光客が大勢訪れるとのこと。安宿に泊まって河原で入浴もいいですが、こんなきれいな温泉付きホテルに泊まって、優雅なときを過ごしてみるのもおすすめです。