世界にはさまざまな名前の人がいる

海外を旅していると、現地で知り合った人の名前を聞いて驚くことがあります。苗字がなくて名前だけの人々がいたり、苗字と名前の間にも、なんだかよく分からないミドルネームを持つ人がいたり、なんと複数の姓をもつ人々がいたり。また、名前が異様に長い人もいます。モーツァルトやピカソの洗礼名やダライ・ラマの本名など、こうなるともう何がなんだか分からなくなってしまいます。あれこれ調べていると、名前に関する考察だけで本が何冊も書けそうな気になってくるほど。今回は名前の中でも、とくに苗字を持たない人々について考えてみることにします。

世界の人々の名前はどうなっている?苗字を持たない国民や民族も多い 世界の人々の名前はどうなっている?苗字を持たない国民や民族も多い

苗字を持たない人々

かつて日本人は苗字を持たないのが一般的でしたが、現在その名残を残すのは天皇家のみです。それでは海外ではどうでしょう。私が初めて友達になったチベット人の女の子は、ツェリン・チュドゥンという名前でした。姓はなく、ツェリンもチュドゥンも名前だといいます。このように一般のチベット人に姓はなく、他の誰に聞いても、だいたい彼女のように2つの部分から成る名前を持ち、その組み合わせでバリエーションを広げているようです。同様に、インドネシアやミャンマーの人々も、民族による違いはあるようですが苗字を持たないことが多いようです。

父親の名前を取り込む人々

また、もともと苗字を持たない人々でも、父親の名前を自分の名前と組み合わせ、姓の代わりに使っている人々もいます。アラブ人やモンゴル人、アイスランド人などがそれ。たとえば私の知り合いのモンゴル人は、ガンゾリック・バザルジャフという名でしたが、ガンゾリックは父の名前とのことでした。ファミリーネームとしての「苗字」とは異なる使い方なので、これらの人々も姓を持たないと言っていいでしょう。また、アラブ人には父の名に加えて、祖父の名や職業名、部族名を加えて名前としていることもあるそうです。

複雑なインド人の名前

多様性の国、インド。よく訪れる国の割に気にしたことはありませんでしたが、人々の苗字は一体……?と思って調べてみたところ、これがまた複雑でした。インド人は基本的に、個人としての名前とともに副名というものを持つようですが、この副名が苗字である場合も、そうでない場合もあるようなのです。一般的にインド人は、自分たちに苗字があると認識している人のほうが多そうですが、この苗字だけで身分や職業などがわかってしまうため、なかには公開しない人もいるとのこと。インド入国などの申請書類には父親の名前を書く欄がありますが、これはもしかしたら苗字を知らせずに同名の人を区別するための、インドならではの方法なのかもしれません。