冒険をしなくても行ける異世界がある

「この世ならぬ景色を見てみたい」。こう言って世界のあちこちに出かけていく人がいます。そういう場所は、普通の旅行ではなかなかお目にかかれないものですが、その数少ない場所のひとつがテーブルマウンテン。南米大陸の北東部、ギアナ高地に点在する山で、山頂には独特の生態系が保たれています。今回は、比較的簡単に登れる山でありながら、まるで異世界に来たような気分が味わえるロライマ山についてご紹介します。

ここはジュラ紀!?恐竜が出そうなロライマ山の風景を楽しむ ここはジュラ紀!?恐竜が出そうなロライマ山の風景を楽しむ

テーブルマウンテンとロライマ山とは

テーブルマウンテンとは雨や風に侵食され、固い地盤を残した台形の山のこと。南米のものは先住民ペモン族の言葉でテプイと呼ばれ、世界最大落差がある滝エンジェル・フォールズも、数あるテプイのうちの最大のひとつであるアウヤンテプイから流れ落ちています。一方ロライマ山は、ベネズエラとブラジル、ガイアナの国境地帯、世界最後の秘境ともいわれるカナイマ国立公園にある標高約2800mの山。テーブルマウンテンのなかでも比較的簡単に登れることから、5泊6日のツアーに参加して特別な装備なしでも行くことができます。

ロライマ山ツアーの日程

基点はサンタ・エレナ・デ・ウアイレンという町。1日目に車で村まで移動し、平地またはゆるやかな上り坂を歩いてロライマ山の麓へ向かいます。周囲はグラン・サバナという草原地帯で、歩みを進めるにつれて雄大なテーブルマウンテンの姿が近づいてきます。2日目の夜に、ロライマの麓のベースキャンプに滞在し、3日目にはいよいよ登山。断崖にうまい具合にできている自然の坂道を登っていくと、植生が徐々に変化していくのに気付きます。そしてたったの3時間半ほどで頂上に到着。4日目を山頂で過ごし、残りの2日で下るというものです。

太古の地球を彷彿とさせる眺め

地上と隔絶された山頂には、世にも不思議な光景が広がっています。荒涼とした岩の大地に水溜りが点在し、奇妙な形の草があちこちに生えています。養分が少ないため、独特の進化を遂げた固有種が多いのです。山のへりからは地平線まで続くグラン・サバナと、近隣のテーブルマウンテンが見渡せます。その特異な光景は、爬虫類の天下だった太古の地球を思わせます。首の長い恐竜が、そこでゆうゆうと草を食んでいても驚かないかもしれません。あとから知ったことですが、小説家コナン・ドイルはロライマ山の写真を見て、恐竜が登場する『失われた世界』を書いたといいます。ロライマの風景に、何億年もの昔を感じたのは、どうやら私だけではなかったようです。