トロイの遺跡には何も残らず

「トロイの木馬」の伝説をご存知ですか。ギリシア神話の中で、トロイア戦争の際にギリシアのオッデセイ(オデュッセイ)が、トロイ攻略のために考えた戦略の名前です。退却したと見せかけ、実は兵士達を木馬の中に潜ませます。夜になり、トロイ城内に引き入れられた木馬の中から、潜んでいた兵士達が襲来をかけ、トロイを陥落させた、という話です。伝説上の都市の存在を信じたドイツ人のシュリーマンが、トロイ遺跡を発掘したのが、今から150年ほど前のこと。その遺跡に行ってみると、そこは石ころが転がる廃墟のようでした。

ギリシア神話の世界がココに!トロイの木馬を訪ねる ギリシア神話の世界がココに!トロイの木馬を訪ねる

巨大木馬が現れた!

トロイは、紀元前3千年ほど前から集落ができ、エーゲ海交易で栄えた町です。その一方で繁栄と没落を繰り返したので、遺跡には2000年間に重なり合った9つの層がみられる、と聞いて行く前から楽しみにしていました。ところが、訪れてみるとインパクトが残るようなものは、何も残っていません。価値あるものはすべて、発掘者が国へ持って帰ってしまったそうです。城壁の一部を残す遺跡群にがっかりしていた、そのときです。大きな木馬が現れました!高さ6、7mほどある、伝説の「トロイの木馬」でした。

兵どもが夢の跡

もちろんこれはギリシア時代のものではなく、1975年に作られた観光用レプリカです。中に入り、はしごを登って3階まで上がると外をのぞける小窓がありました。そこから顔を出して写真を撮るのが定番のようで、私も友人と交互に撮影しました。「木馬はあくまでも伝説で、現実的にはあり得ない」と冷静に分析してしまう一方で、レプリカとはいえ、この静まりかえった遺跡内に巨大な木馬を見て、遠いギリシア時代の伝説に思いを馳せるのには充分でした。思わず松尾芭蕉の俳句「夏草や 兵どもが 夢の跡」と口ずさんでいました。

映画「トロイ」に出てくるもう一つの木馬

個人的にはブラット・ピット主演映画「トロイ」を事前に見てから、行くことをお勧めします。トロイ伝説とその背景を知ることができ、何より当時のトロイの雰囲気を映像で味わうことができます。映画ではブラッド・ピット演じるギリシアの戦士アキレスと、トロイの王子の戦いも見ものです。その後に、実際に現地で自らの足で立ってみると、さらにロマンをかき立てられることでしょう。また、実際に映画のセットで使われた木馬は、チャナッカレの港近くの公園に展示されています。時間があれば2頭の木馬を訪れるのも面白いかもしれませんね。