時が止まったかのようなポルトガルの美しい村々

ラテンの国のはずなのに、人々は静かで穏やかで、なんだか時の流れがゆるやかに感じられる国ポルトガル。私はスペインで暮らしていてなんとなく疲れたら、週末を利用してポルトガルに出かけます。美味しいものを食べ、心が癒されたらまたスペインでの日常に戻るのです。国全体が現代の目まぐるしさから取り残されたようなポルトガルですが、美しい宝石のような村々が、スペインとの国境の山あいに点在しています。これらの村々は、まるで時が止まってしまったかのような、時代に取り残されたような静かな佇まいで、村の中を歩いていると、なんだかタイムスリップしたかのような気分になるのです。

南欧の鷲の巣村を訪れる旅 その3「ポルトガル・モンサラーシュとマルヴァオン」 南欧の鷲の巣村を訪れる旅 その3「ポルトガル・モンサラーシュとマルヴァオン」

夕暮れ時と朝に静寂の音がする「モンサラーシュ」

リスボンからバスを乗り継ぎ、オリーブ畑が広がる平原の中を行くと、小高い丘の上にモンサラーシュの村が見えてきます。城壁に囲まれた要塞だった小さな村には、13世紀のお城や中世に建てられた病院や裁判所が残っています。「夕暮れ時と朝に静寂の音がする」といわれるモンサラーシュにはホテルが数軒あるので、是非この村に1泊して、その「静寂の音」に耳を傾けてみてください。家々の壁は石灰で白く塗られ、日中は日差しに輝いて青空に映えます。夜、家々がオレンジ色の街灯に照らされる中、石畳の小道を歩いていると、現実感のない幻の世界にいるような錯覚に陥ります。

天空の村「マルヴァオン」

スペインとの国境近く、サン・マメーデ山脈の中の茶色い岩山の上に、13世紀に造られた城塞と白い村がへばりつくように建つマルヴァオンの村があります。この村は古くから戦略上の要衝でしたが、現在はオレンジの屋根と白い壁の家並みが美しく、難攻不落の要塞の歴史が嘘のような静かで平穏な村です。城塞から見渡す360度のパノラマは筆舌に尽くし難い絶景です。特に地平線に沈む夕日が白い村と大地をピンク色に染め、村が静寂に包まれていく時間は何ともいえず美しいものです。西に10km離れたカステロ・デ・ヴィデという城壁に囲まれた美しい小さな村と、あわせて訪れることをおすすめします。

苦労してでも訪れたい村々

南仏やスペインの鷲の巣村とポルトガルのそれの異なる点は、前者は村に暮らす人々の生活感があり、多くの観光客で賑わっているのに対し、ポルトガルの村々は観光客も少なくしんと静まり返っていて、外部から隔絶されているような雰囲気が漂っているところでしょうか。時が止まっているような世界で生まれ、死んでいく人生もあるのかと思うと、自分の日常との違いに呆然とし、世界はあまりに広いのだと感じます。モンサラーシュもマルヴァオンも、本数の少ないバスを乗り継がねばならずアクセスは面倒ですが、地の果てに取り残されたようなこれらの美しい村々を訪れる価値は十分にあると思います。