日本の鳥居にも似た塔門

「この2本の柱と3本の横梁からなる塔門は、イスラム教の塔門などとは違って、門というよりかなりシンボル的なものです。形自体は、日本の鳥居に似ているでしょうか。石造のその塔門には、ブッダの生涯や女神像などがびっしりと彫られています。注目は、ブッダがそれらの浮彫りでどう現されているかです。仏像が造られるのは、古代ギリシャの影響を受けたガンダーラ美術以降です。ストゥーパが拡張されたこの時代は、ちょうどその開始時期ですが、まだ世の中的には一般的ではなかったようです。ここではブッダは、仏足石、法輪、菩提樹などで現されています。

インドの仏教遺跡を訪ねて。世界遺産の仏塔がそびえるサンチー (後編) インドの仏教遺跡を訪ねて。世界遺産の仏塔がそびえるサンチー (後編)

周辺にも遺構が残る

塔門から中に入り仏塔を見ても、そこには何も描かれてはおらず、また内部に入る入口もありません。その造りは覚りを開いた「無」の境地をさしているといも言われます。歩いていると、いつのまにかぐるりと塔を一周してしまいます。第1塔を出て、今度は敷地内を歩いてみましょう。僧院や仏教寺院の跡がありますが、時代が古いだけに土台部分しか残っていません。土台は石でしたが壁はレンガだったので、自然に朽ちて行ったのかもしれせん。発掘されたアショカ王の石柱も置かれています。さらに500mほど離れた所には、素朴な姿の第2塔があります。

郊外のヴィディーシャにある見どころ

サンチーの見どころはこの仏塔とそれに付属する小さな考古学博物館だけですが、北東に8kmほど離れた小さな町ヴィディーシャにもいくつか見どころがあります。私はサンチーは2度目でしたので、今回はオートリクシャーをチャーターして、1時間半ほどでそれらの見どころを回ってみました。ビジャ・マンダルは11世紀に建てられたヒンドゥー寺院を、ムガル帝国のアウラングゼーブ帝が命じてモスクに改築したものです。それも今は遺跡となっていますが、柱にヒンドゥー寺院時代の浮彫りが残っているのが面白いですね。町外れの岩丘のウダヤギリには、グプタ朝時代の4世紀頃に造られた多くの石窟寺院があるところです。規模は大きくはないですが、猪の頭をした神のヴァラハの浮彫りなどはなかなかの迫力があります。

紀元前にサンチーに訪れたギリシャ人

最後に「ヘリオドロスの石柱」と呼ばれている柱を紹介しましょう。こんなインドのど真ん中で、なんでギリシャ人の名がと思いますよね。これは紀元前150年に現在のアフガニスタン辺りを治めていたグレコ・バクトリア王国の使節として、この地を治めていたジュンガ朝へ来たギリシャ人ヘリオドロスによって建てられたというものです。そんな昔の時代に、ギリシャ系の人物がこんな所に来ていたということは驚きですね。

サンチー観光の宿泊はどこに?

さて、サンチーを観光する場合、もっとも楽なのはホテルの種類も豊富なボーパールから日帰りすることですが、サンチーにも政府系のロッジがあります。日が落ちて観光客がいなくなると、サンチーの村は驚くほど静かになります。急がない旅なら、ぜひゆっくりしていってください。