ツーリスト向け香港とはちがう一面を見に行こう

グルメとショッピングというイメージの強い香港ですが、その歴史が植民地としての海防の拠点という一面を持っていたことを忘れることはできません。香港島をMTR(地下鉄)で東へ進み、「香港海防博物館」へ行ってみましょう。2000年にオープンした、比較的新しい博物館です。ここは、ただの“博物館”という建物があるのではなく、100年ほど前にイギリス軍が築いた要塞だった場所をそのまま博物館としてリノベーションしているという、ユニークな成り立ちを持っています。

香港「海防博物館」へ行ってみよう 香港「海防博物館」へ行ってみよう

海風を感じながら博物館へ

MTR「筲箕湾(サウケイワン)」駅B2出口から10分くらい歩くと、中心のエリアからちょっと雰囲気が、というか“空気”が変わります。「海のそばだ」ということを、海を見なくても感じるような空気が流れています。海防博物館は、傾斜地を活かした造りを残しながら、近代的な博物館がその傾斜にうまく添うようにして建てられています。入場券売り場に着く前から、すでに戦車が屋外展示されており、まずは本物の戦車に興奮。コックピットの狭さに驚嘆します。よくこの蒸し暑さの中、こんなところに入って戦ったものだと、気楽な観光客は汗を拭きながら(香港は暑い季節が長いので)見入っています。

興味深い展示の数々

展示品は、明(みん)代まで遡る歴史資料や衣装、軍隊の使用していた銃剣類や書類など。私は携帯食料のチョコレートやコンビーフのパッケージや、軍服の展示を興味深く見学しました。そしてこの要塞で1941年に激戦を繰り広げたという日本軍のマネキンが、“いかにも悪そうな鬼畜日本兵”といった雰囲気を醸し出していることに苦笑しました。たしかに戦争はまちがったことだけれど、そんなに日本軍ばっかり悪いの?イギリス軍のマネキンはいい人っぽくつくられているのは何故?と、誰にともなく言ってみたくなってしまいました。展示室の壁に日本の新聞(東京日日新聞など)をコラージュしたデザインもあり、私は思わず読みふけりましたが、見学者のうちどれくらいの人が読むのだろうとも思いました。

戦争と平和を考えるきっかけに

展示コーナーだけでなく、大砲の歴史を紐解く10分ほどの映画の上映や、軍隊用のテントに入ってみる体験コーナーもあります。そして何よりも、ほんものの要塞跡地を歩き回っているという臨場感が楽しいのです。戦争遺跡を“楽しい”という表現はよくないですが、「こんな狭いところにいたのか」「よく造ったものだ」という感想は素直に出てきます。そして秘密基地のようなこの博物館の丘の上に出て、海風に吹かれながらのどかな風景を見渡していると、「やっぱり平和がいいなあ」とつくづく思えます。日本人としては複雑な心境になるかもしれない博物館ですが、やはり一度は行くことをお勧めします!