巨石といっしょに暮らす村

ポルトガル中部、スペインとの国境に近い山間に、ちょっと変わった家のある村があります。村の名前はモンサント。なんと、ここの家は巨大な自然石でできているのです。モンサントは山の中腹にある村ですが、その斜面に何メートルもあるような巨大な岩がごろごろと転がっています。その岩をそのまま屋根や壁に取り込んで、人々は家を造っているのです。巨大な岩と岩の間に屋根をかけ、壁を造って家にしたり、あるいは岩の下にある隙間に壁を造り、岩を屋根にして家を造ったりと造り方は様々ですが、どの家も中に入ると、岩がそのまま壁になっています。つまり岩といっしょに暮らしているという感じです。

ポルトガルの山に築かれた巨石の家の村 ポルトガルの山に築かれた巨石の家の村

なぜ岩の家を造ったの?

いったいなぜこんな家を造ったのでしょうか。家主に聞くと次のような説明をしてくれました。そもそもここには木がほとんどない。木材を買うと高いので、元からあった岩を使わざるを得なかったのだそうです。それに、このあたりの気候は、夏が非常に暑いので、その暑さを防ぐのに大きな岩の家は涼しくて快適だというのです。でも冬は寒そうですねと言うと、外は寒いけれど、中で火を焚くとすぐに暖かくなるとのことでした。寒さは服と暖房でしのげるけれど、夏の暑さは耐え難いもののようです。14世紀頃にはこのような岩の家が造られ始めたとのことでした。

岩の家に住む新しい生活スタイル

昔は電気も冷房もなかったでしょうが、今は暑い夏にはクーラーがあります。今でもこのような岩の家に住むのは快適なのでしょうか。そう聞くと、家主は、今の若者はこの村から都会へどんどん出て行っているよと嘆きます。ここにいても仕事がないのだそうです。だから村に住んでいるのは老人ばかり。空き家も多くなったといいます。しかし、新しく都会からこの村に移り住んでくる人も出てきたそうです。現代の設備によって岩の家が快適に暮らせるようになり、自然の岩といっしょに住む生活に憧れる人も増えてきたとか。時代が変わって岩の家に新しい価値が生まれ、次の世代に引き継がれていくのかもしれませんね。そうなればいいなと思います。