スペインの陸の孤島!? 秘境と呼ばれたアラン谷

アラン谷は、スペインのカタルーニャ州の北西端に位置する谷です。ピレネーを越えた先にあり、フランスと国境を接した「秘境」と呼ばれた地方です。アラン語という独自の言語が使われていて、この一帯では、アラン語はスペイン語(カスティージャ語)やカタルーニャ語とともに公用語になっています。スペイン側から行こうとするとピレネーを越えなければならず、まさにスペインの中の陸の孤島のような場所でした。今では、全長5,230mのトンネルによってピレネーの下をあっという間に潜り抜けられます。

花いっぱいの初夏のスペイン2 ピレネーの麓、アラン谷に咲く野生の白い水仙 花いっぱいの初夏のスペイン2 ピレネーの麓、アラン谷に咲く野生の白い水仙

アラン谷に咲く野生の水仙が見たい!

現在のアラン谷は、一大スキーリゾートとして、フランスとスペインからのスキー客が押し寄せ、冬の間大いに賑わいます。一方6月は閑散期にあたり、村々に残る美しいロマネスクの教会もまだ閉められています。そんな中、私は日本から来た友人と一緒に教会を巡り、ピレネーの麓でちょっとだけハイキングを楽しみました。目当ては、山の麓の谷一面に咲く野生の水仙を見ることです。アラン谷の観光の拠点はビエラの町で、ここには眺めのいいパラドール(スペインの国営ホテル)もありますが、私たちはそのすぐ近くの小さな村、カサウ(Casau)に宿を取りました。

今年は春が遅いから花はまだだと言われ・・・

アラン谷の6月上旬は、まだ初夏と呼ぶには早く、夜は宿の部屋に暖房が入っていました。でも、太陽が出ていれば、ハイキングには最適の気候です。水仙の群生が見られる谷へは、ビエハから東に10kmの村、サラルデュから南に入っていきます。サラルデュのインフォメーションで尋ねると、「今年は例年より冬が長かったから、まだ花は咲いてないよ」とのこと。途中で、山から下りてきた車の青年にも「花は少ししか咲いてなかった」と言われ、ちょっと諦めモードになりつつ、ハイキングのスタート地点「Banhs de Tredos」を目指しました。

私たちは幸運でした!

スタート地点に着くまでの道の両側は草地になっていて、馬が放牧されていました。谷を挟む山々は残雪を頂き、なんとも美しい風景です。そうして半分ほど登ったあたりに、突然、白い花の群生地が現れました。見たかった野生の水仙が、あたり一面に咲いています。車から降りて、花を踏まないように気をつけて草地に下りてみました。間近に見る水仙の花はとても清楚で可憐で、そして花畑の背後には雪山が聳え、その風景は見飽きることがありませんでした。いやはや、こういう奇跡のような風景に出合えるから、旅はやめられないのですね。