最も有名なタウル村の「サン・クリメント教会」

バルセロナから約4時間のドライブで、ピレネー南麓のボイ谷にやってきました。お目当てのロマネスクの教会は、谷沿いの村々に点在しています。今回は世界遺産に登録されている9つの教会をすべて訪ねるのが目標です。まずは最も有名なタウル村の「サン・クリメント教会」へ。この教会には「全能のキリスト」という素晴らしい祭壇画がありましたが、保護のためにバルセロナのカタルーニャ美術館に移されました。その代わり、1時間に一度、失われた部分も含めた壁画の映像が壁に投影され、1000年以上前のオリジナルの壁画がどれだけ素晴らしいものであったかを知ることができます。6層の美しい鐘楼に上ると、ピレネーとボイ谷の絶景が見渡せました。

ピレネー山脈の麓、人里離れたボイ谷にひっそりと佇む世界遺産のロマネスク教会(その2) ピレネー山脈の麓、人里離れたボイ谷にひっそりと佇む世界遺産のロマネスク教会(その2)

壁画と収蔵品のオリジナルはバルセロナに

ボイ谷にあるロマネスク教会の壁画と彫刻などの収蔵品のほとんどは、現在はバルセロナのカタルーニャ美術館に展示されています。荒れ放題だった壁画を保護し、泥棒の手から守るため、壁画は当時の最高の技術で教会の壁から剥がされて、バルセロナに運ばれました。ですから、ボイ谷の教会に残されているのはレプリカということになります。どの教会も、内部は壁を剥がした後の修復によってこぎれいになっているのが少々残念な気がします。その分、バルセロナに戻ってからカタルーニャ美術館を訪れ、オリジナルの壁画に対面して『あの教会の中はこんな壁画で埋め尽くされていたのか』と想像すると、そこでまた新たな感動を覚えることができるのです。

ピレネーを背景に佇むボイ村の「サン・ジョアン教会」

同じタウル村には、もう一つ、集落の中心に「サンタ・マリア教会」があります。サン・クリメント教会は姿かたちの整った美しい教会として印象的でしたが、こちらは、教会を囲むように建つ集落の家々と教会の佇まいが中世そのままのようで、村人の生活の息吹も感じられ、私はこちらの教会の方が好きでした。タウル村を少し下がったところにあるボイ村には、「サン・ジョアン教会」があります。教会の横に大きな岩があり、その頂上まで上ると教会の鐘楼のてっぺんと同じ高さになります。この岩の上から望むサン・ジョアン教会は、背後に雄大なピレネーが聳え立ち、まさに絶景でありました。どの教会もそれぞれ全く異なった眺めを持ち、教会巡りは飽きることがありません。(その3に続く)