荒々しい大自然の景勝「ザクセン・スイス」

ドイツを代表する文豪ゲーテが「エルベ川のフィレンツェ」と称えたザクセン王国の都ドレスデンからエルベ川を遡ると、切り立つ岩山が川の両側に迫り、岩峰が連なるザクセン・スイス国立公園に入っていきます。長い年月を経た浸食作用によって誕生した、100mを超える断崖絶壁が、訪れる人を圧倒します。ドレスデンとチェコのプラハという二つの美しい都の間に、こんなに荒々しい大自然の景勝が存在することに、きっと驚くことでしょう。ザクセン・スイスは、ドレスデンとプラハから日帰りで訪れて、手軽にハイキングを楽しむことができます。

ドレスデンとプラハから日帰りで行ける、絶景のザクセン・スイス国立公園(前編) ドレスデンとプラハから日帰りで行ける、絶景のザクセン・スイス国立公園(前編)

ドレスデンから電車でたったの45分

ドレスデンとプラハの旅行を計画していた時、プラハに住む山好きな友人に、このザクセン・スイスでのハイキングを勧められました。ザクセン・スイスなんてそれまで聞いたこともなかったのですが、中欧のあちこちの山に出かけている友人が勧めるのだから、きっと素晴らしいところなのだろうと思い、ドレスデンからプラハに移動する際に、立ち寄ることに決めました。ドレスデンから、ザクセン・スイスの中心地バート・シャンダウBad Schandauまでは、Sバーン(近距離鉄道)で約45分という近さです。

ハイライトは「バスタイ橋」

ザクセン・スイスの一番の見どころは、奇岩の中に造られた「バスタイ橋」です。ドレスデンから日帰りするなら、バート・シャンダウまで行かず、橋に近いクーアオルト・ラーテンKurout Rathen駅で下車します。登山口のある対岸のニーダーラーテンの村へは、渡し船でエルベ川を渡るのですが、この渡し船、動力を使わずに船頭さんがロープを手繰って動かすのが見どころ(笑)です。登山口から登り始めると、目の前に現れるのは奇岩のオンパレード。歩く道は整備されていますが、ひたすら上り続ける1時間というのはなかなかきつく、息も上がります。やがて、上の方からゴールに到着した人たちの歓声が聞こえてきました。どんな風景が待っているのでしょうか。

想像以上の絶景に感動

針葉樹の木が茂る山のあちこちに、細長い奇岩がにょきにょきと屹立し、その岩肌は垂直の断崖絶壁です。なんという奇観。‘スイス’と銘打っていますが、本物のスイスには全然似ていません。ヨーロッパの大自然の風景のイメージとは異なり、アジア的というか、中国の黄山を小さくしたような風景です。今にも仙人が雲に乗って現れそうな幽玄の世界。バスタイ橋から周囲の山を見てもよし、反対側からの橋の眺めもまた絶景、そして、なにより私が感動したのはここからのエルベ川と谷の眺めでした。エルベ川がぐっとカーブを描く様は、ハンガリーのヴィシェグラードの山頂から見たドナウベントよりも数倍美しく、時間を忘れて長い間、展望台からの絶景を堪能しました。(後編に続く)