ピレネー山脈の世界遺産を目指す

2014年の夏、日本から来た山好きの知人と一緒にピレネー山脈に出かけました。今回は知人のリクエストでフランス側のピレネーを目指します。目指すは高さ3352mとピレネー山脈で3番目に高いモン・ペルデュ(スペイン語ではモンテ・ペルディード)にあるガヴァルニー圏谷です。モン・ペルデュとは「失われた山」という意味ですが、この山の山頂がフランス側からは見えないことから、この名がつけられました。ペルデュ山を中心とするスペインとフランスの国境一帯は、1997年にユネスコの世界遺産(複合遺産)に登録されています。

世界遺産「ピレネー山脈のペルデュ山」ハイキング その1【ガヴァルニー圏谷】(前編) 世界遺産「ピレネー山脈のペルデュ山」ハイキング その1【ガヴァルニー圏谷】(前編)

田舎の村でもあなどれないフランス料理

レンタカーでバルセロナを出発し、国境の峠を越えてフランスに入りました。眺めのいいところで休憩をはさみながら、一日がかりでガヴァルニー村に到着しました。村に着く直前に、運転するのが不可能なほどのどしゃ降りに見舞われ、村に着いても雨は止みません。とりあえず村のレストランに夕食に出かけました。超満員の人気レストランの料理は、こんな田舎の村だというのに、盛りつけがとても美しく洗練されていて、スペインとの違いを感じました。また、スペインでは料理にバターをほとんど使わないので、久しぶりにバターの風味を堪能しました。

圏谷(カール)は氷河地形のひとつ

翌朝、目覚めてすぐに窓の外を確認します。晴れてはいませんが、雨はもう上がっています。そして部屋から目の前にどーんとガヴァルニー圏谷が見え、テンションが一気に上がります。ところで、「圏谷」とは何でしょう。登山用語では「カール」と呼ばれ、氷河が削り取ってできた氷河地形のひとつです。広いお椀状の谷で、上から見ると馬蹄型や半円の形になっていて、日本では穂高岳の涸沢カールや、駒ヶ岳の千畳敷カールが有名です。ペルデュ山の北のフランス側には、ガヴァルニーをはじめ、トルムーズやエストーブなどの雄大な圏谷が連なっています。

圏谷を目の前に見ながらのハイキング

宿でお弁当を用意してもらい、天気が崩れないうちに出発します。圏谷の上の方は雲がかかっていて、頂上が隠れています。ガヴァルニー圏谷最高峰のマルボレ山(3253m)も見えません。道は、圏谷を正面に見ながらの一本道なので迷うこともなく、圏谷に流れ落ちるヨーロッパ最大の滝、ガヴァルニー大滝がくっきりと見えています。昨夜の雨で埃が落されて、空気は澄み緑が鮮やか。道の横には、かわいらしい野の花がたくさん咲いています。道も平坦で、これならちょっとしたハイキング気分で子供も一緒に歩けるでしょう。やがて、初めは平坦だった道が、圏谷に近づくにつれて上り坂になってきました。(後編に続く)