南米にあるフランスの海外県

南米大陸の北東部にあるギアナ3国のうち、もっとも東側に位置するのが、仏領ギアナです。名前のとおり独立国ではなく、ここはフランスの海外県にあたります。南米にある、唯一のフランスの領土ですね。面積は北海道ほどで、そこに住んでいるのは約22万人。その9割が沿岸部、うち6万人近くが県都のカイエンヌに住んでいます。国土の大半を占める熱帯雨林は人口希薄で、いまだ未開発というところはギアナ3国に共通するところです。

映画『パピヨン』の舞台にもなった“悪魔島”のある、南米の仏領ギアナとは?(前編) 映画『パピヨン』の舞台にもなった“悪魔島”のある、南米の仏領ギアナとは?(前編)

フランス領ギアナの歴史

このギアナ地方は湿度が高い熱帯で、フランスの入植者たちは風土病にかなり苦しめられたといいます。そしてこの仏領ギアナも周辺の国と同様に、17〜18世紀にはアフリカから多くの黒人奴隷を連れて来てプランテーション農業に従事させた歴史があります。奴隷解放後は、人出不足を補うためにフランス本国から多くの囚人が送り込まれたほか、インドからの契約移民もやってきました。とくにフランス革命以降、多くの政治犯が流刑にされ、劣悪な環境のために命を落としたことは、仏領ギアナの悪名となっています。

多くの流刑者が亡くなった「悪魔島」

流刑地としてもっとも有名なのが、仏領ギアナの沖合にある「悪魔島」でしょう。1852年から1946年までの約100年に渡り、ここに8万人以上の囚人が送られ、その多くが病気で命を落としたといいます。この島が有名になったのは、ここから脱獄に成功したアンリ・シャリエールの著書「パピヨン」及び、その映画化の『パピヨン』によってでしょう。シャリエールは殺人犯として無期懲役の判決を受け、1931年にこの悪魔島に送られてきます。何度も脱走を試みたシャリエールは1944年についに脱獄に成功。やがてベネズエラの市民権を得て、1969年に書いた自伝小説「パピヨン」がベストセラーになります。

映画「パピヨン」で世界的に有名に

1973年には「パピヨン」は映画化され、大ヒット。この悪魔島は世界的に有名になります。スティーブ・マックイーン扮するパピヨンが、ついにこの悪魔島から脱獄に成功するラストは、それを見送るダスティン・ホフマンの名演と相まって、名シーンとして語り継がれています。この「悪魔島」は現在、観光施設となっており、ツアーなどで訪れることができます。(後編につづく)