中国なのに、ハノイにいるような気分になる不思議な駅

ミニバスを降りて、その駅に一歩足を踏み入れた瞬間、どこにいるのか、わからなくなります。中国にいるはずなのに、中国にいる感じが吹き飛びます。山吹色の壁と白い石柱のヨーロッパを思わせる駅舎が目の前に現れます。その駅の名は「碧色賽」。雲南省南部の紅河ハニ族イ族自治州の蒙自の中心部からバスで30分ほどのところにあります。中国ではめずらしい色あせた山吹色の建物は、ベトナムのハノイの旧市街でよく見かける石造りの建物にそっくりです。なんだかハノイにいる気分です。ふるぼけた駅舎には人気がなく、ノスタルジックな風景の中にまぎれ込んだような感じがします。

鉄道好きならはまる!雲南省のノスタルジックな風景にひたる旅 鉄道好きならはまる!雲南省のノスタルジックな風景にひたる旅

清朝末期にフランスがひいたテンエツ鉄道の駅舎を見に行く!

清朝末期、欧米列強が中国を侵略していました。当時ベトナムに進出していたフランスは清朝から鉄道を敷く権利を買い、ベトナムのハイフォンから雲南省の昆明まで敷いたのが滇越(テンエツ)鉄道です。碧色賽はこの滇越(テンエツ)鉄道の駅のひとつです。滇越(テンエツ)鉄道は1903年に工事が始まり、1910年に完成しました。中国からすれば「恥の歴史」として、観光地として大っぴらに宣伝されることもないようです。そのせいか近隣の住民の姿は見かけますが、観光客の姿はほとんどありません。古ぼけた山吹の色の駅舎には針のない時計が残っていて、まさに時間が止まった世界です。

中国発の民営鉄道はいったいどこにある?

この碧色賽は、滇越(テンエツ)鉄道から分かれる箇碧石鉄道の駅のひとつにもなっています。箇碧石鉄道は中国初の民営鉄道です。1915年に工事が始まり、工事終了はなんと1936年!世界で一番工事が遅く、時速10キロだったので走る速度も世界で一番遅い鉄道といわれていました。しかもレール幅がわずか60センチの狭軌鉄道です。2003年まで貨物列車のみが走っていましたが、2010年にはその貨物列車も運行を停止しました。この箇碧石鉄道の駅が紅河ハニ族イ族自治州の石屏に残っています。

南国の植民地旅情満点の駅に行きました!

石屏は、紅河ハニ族イ族自治州の建水から西にバスで1時間のところにあります。石屏駅はにぎやかな旧市街に位置しています。駅前の路地に入った瞬間、喧騒が消え、音がない世界に変わります。中国の民営鉄道ですが、フランス人技師を雇ったので、駅舎はやはり山吹色です。ホームのそばにはシュロの木があり、南国の植民地旅情が漂っています。ひとりポツンと石屏駅のホームに立っていると、過去の世界に迷い込んだような気分すらしてきます。雲南省のノスタルジックな風景にひたる旅、あなたもいかがですか?