ガイドブックより「口コミ」を信用

たとえば旅先でこれからAという場所とBという場所、どちらに行くかあなたは迷っていたとします。ガイドブックには「Aのほうがいい」と書いてありますが、Bにもひかれます。そんな時、Bからやってきた旅行者に「すごい良かったよ!(その旅行者はAには行っていません)」と言われると、気持ちは一気にBになびいてしまいます。「口コミ」の威力は大きいです。ガイドブック制作者としてはむなしいですが、作る側としては、あからさまに見どころに序列はつけられないですよね。その良し悪しには個人的な主観ももちろんありますし、たとえ「行く価値ないな」と個人的に思ったとしても、そうは書けません。そんな「イチオシ」感を欠いた弱点を埋めてくれるのが、「口コミ」なのです。

ガイドブックと口コミ。あなたはどちらを参考にする? ネット時代以前は… ガイドブックと口コミ。あなたはどちらを参考にする? ネット時代以前は…

「口コミ」が最重要の情報源だった時代

今ではネット上のブログや掲示板に口コミがあふれていますが、90年代まではそんな場所はなかったので、「旅行者に直接話を聞く」という、まさに「口コミそのもの」がフレッシュな情報源でした。長い期間旅をするバックパッカーたちは、反対方面から来た旅行者たちと情報交換し、「あそこは必見!」「あそこは行く価値ないよ」「あの町に行ったら、絶対にあのレストランであれを食べて」などを聞き、それをたどって旅行していたものです。当時はガイドブックの情報がまだ貧弱だったこともあり、口コミのほうがはるかに信用できたのです。私が長い旅をしていた90年代は、多くのバックパッカーは口コミによって行き先ばかりか、行く国さえ決めていました。私はそのため行きたい所がどんどん増えて行き、日本を出て3ヵ月後にはヨーロッパに着いているはずが、アジアで7ヵ月もかかってしまいました(笑)

「口コミ」の精度はガイドブックよりも劣る?

さて、「口コミ」ですが、それがすべて正しいとは限りません。それは自分の経験に基づいた主観的なものですから、経験値が低いと他と比べるものもありません。先ほどの例で言うと、もしその旅行者がAとBの両方に行ってBがいいと言うなら、その精度は(主観的ですが)上がりますが、Aには行っていないのです。しかしガイドブックを作るほうとしては両方行っているはずなので、Aのほうが良ければ当然ながら書き方にそれが表れているはずです。つまりある程度、客観的な判断をしているということです。

かん違いも口コミのうち?

あとは「かんちがい」もけっこう多かったということです。その国の習慣を知らないがために、悪い印象を持ったりして、さらにそれを「嫌な目にあったのでおすすめしない」と人に伝えたりすることも少なくありません(そんな旅行者にはたくさん会いました)。“たまたま”入場無料の日に入って、他の人に「入場料は無料だった」と伝えることだってあるのです。たまたラッキーだっただけで、実は危険な行き方だったりすることもあります。そこが「口コミ」の危ない面でもあります。逆を言えば、あなた自身が間違った情報を発信してしまうこともあるのです。それも含めて、の口コミなのでしょうね。